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昭和五十四年、桂枝雀に入門し、二年経って、内弟子を開けた頃、「お話おじさんと呼ばれてもええから、とにかく、数多くのネタを覚えて、上演しなさい」と言われ、それを実践してきたが、「塵も積もれば、山となる」の譬えの通り、上演したネタは五百席を越え、今も増え続けている。
ネタの数を絞り、それに磨きをかける方が良いとも思うが、ネタの在庫が多い方が、落語の内容から学べることも多く、様々な要請の応対も出来るのは当然のことだ。
落語会の録音が、いろんな方のご協力・お勧めに依り、二十年以前からCD・テープを数多くリリースすることができた。
但し、それらは私のネタの集合であり、会全体の雰囲気を伝えるものではない。
以前から、会主・世話人の挨拶・お礼、助演者の落語も含めたCDを作りたいと考えていたが、実現が難しく、半ば諦めかけていたが、この度、パンローリングから発売できることに相なった。
関東で落語会の老舗と言っても過言ではない、かまくら落語会の録音が採用されたことが嬉しく、岡崎誠先生の最初の挨拶に始まり、お礼の言葉でお開きとなる、かまくら落語会独特の温かい雰囲気を味わっていたく内に、会の当日の座席に座っているような錯覚を覚えていただければ、幸いである。
落語のCDでも、このような楽しみ方があるという見本を、次々とリリースできれば、「噺家冥利に尽きる」と言っても過言ではない。
桂文我
収録演目
百年目:桂文我
天神山:桂文我
特別対談:文楽三味線 野澤錦糸
四代目 桂文我
昭和35年生まれ、三重県松阪市出身。昭和54年3月、二代目桂枝雀に入門し、桂雀司を名乗る。平成7年2月、四代目桂文我を襲名。全国各地で、桂文我独演会・桂文我の会や、親子で落語を楽しむ「おやこ寄席」も開催。
平成25年4月より、相愛大学客員教授に就任し、「上方落語論」を講義。国立演芸場花形演芸大賞、大阪市咲くやこの花賞、NHK新人演芸大賞優秀賞、芸術選奨文部科学大臣賞など、多数の受賞歴あり。